ブルドッグのパピーが生まれた! 【ブルドッグパピーライフDAY1】

2018年1月6日

(ブルドッグ出産記録)

2017年12月1日は、我が家のブルドッグ(メス)「てん」の出産日。

10月上旬にブリーダーのJ&Kさん(東京・国分寺)で、てんを交配させてから、早2ヶ月。

ブリーダーJ&Kさん 

過去、4回の交配で妊娠しなかったものの、今回、5度目の正直でやっと妊娠。
てんも5歳になったので、これがほぼラストチャンス。

かかりつけの動物病院で、1週間前にエコー検査してもらいました。
どうやら、お腹に2頭いるらしいとのこと。

今日は初回の交配日からちょうど60日目(2回目の交配からだと58日目)。

ブルドッグの出産は基本的に帝王切開です。

J&Kさんいわく、ブルドッグは帝王切開のタイミングが難しく、早すぎると未熟児(肺が未発達)、遅すぎると水ぶくれ状態(カバみたいらしい)で生まれ、取り出すのが早すぎても遅すぎても、出産後に死んでしまうとのこと。

プロのブリーダーは、早い場合は、交配日から58日目で取り出すらしいが、うちは60日目に帝王切開を予定しました。

それでも、一般的には犬の出産は交配日から63日目とされているので、3日ほど早く取り出すことになります。
破水や、前述の水ぶくれのリスクを考慮して、このタイミングを選びました。

帝王切開は、J&Kさんから紹介してもらった中沢ペット動物病院にお願いすることに。

安産祈願のお守りをぶら下げて、行ってきます!

この中沢先生は獣医業界では知る人ぞ知る名医で、局部麻酔で帝王切開をやってしまう腕の持ち主(通常は全身麻酔)。

「ドクターズファイル」中沢先生(中沢ペット動物病院)

そもそもブルドッグという犬種は、麻酔コントロールが難しく、麻酔から戻ってこないケース(=死)も多々あるそうです。
実際、ブルドッグの帝王切開ができるお医者さんなんてそうそう聞いたことがありません。

今回は、出産当日にJ&Kさんも立ち会ってくれて、犬と人間ともどもサポートしてくれることに(感謝、感謝です)。

で、診察室に入ると(名医の診察室としてはとても簡素です)、なんだか緊張感ゼロ。

「はーい、いらっしゃい」

しかも、待合室と診察室と手術台が全部ワンフロアーで、間仕切りがなし。かろうじてカーテンがあるが、ほぼ、全部丸見えなのです。
(これ、衛生面で大丈夫なのだろうか・・・)

まずはてんを診察台に乗せて体重を計り、先生がササっとお腹を触診。

先生「よし! 入ってるね」

(安堵)

助手である先生の奥さんがてんをなでて落ち着かせようとするが、恐怖のせいか、てんの震えが止まらない。

こういうときに備えて準備していたアロマ「クラリセージ」をてんに吸わせます。
クラリセージは不安をやわらげ、リラックスさせる効果があるという。
しかし、こんなアロマが犬にも効くの・・・?

はたして、先生の奥さんもびっくりするくらいの効果を発揮し、てんの震えが徐々におさまり、落ち着きはじめるではないか。

クラリセージ、恐るべし。

それから、我々が緊張をほぐすためにとりとめのない雑談をしている間に、先生が近づいてきて、てんのふとももにさっと鎮静剤(?)を注射。ものの0.01秒の早業。

10分くらいすると、てんがウトウト・・・。

いよいよ、てんを手術台に移動させます。

ここの診察室には間仕切りがないので、手術台が待合室から丸見え。
見ようと思えば見れるけど、怖くて見れません。

(不安)

と、思ってたら、佐川急便の兄さんがいきなり入ってきました。どうも不良品の回収にやってきたようです。

(えっ、今、手術中なんですが・・・)

しかも、佐川のお兄さんの話が長い。
しかもしかも、ガサガサと荷物を抱えていて(おいおいホコリが舞ってますが・・・)。

先生と佐川のお兄さんとのやりとりを聞いていると、運送中にパッケージが破れてしまって回収にきたとのこと。
いやいや、このタイミングで来るかね・・・。

話が長い佐川のお兄さんが出て行った後の手術中は、J&Kさんから今後のパピーのお世話方法についてレクチャーを受けたり、パピーを持ち帰るときのダンボールを組み立てたり、カイロの準備をしたり・・・。
すると、20分ほどたった頃、手術台のほうから声が。

「はい、出たよ」

なんか、奥さんが小さな生き物を抱えている・・・。

えっ!
えっっ!
えっっーー!(早)

奥さんが小さな生き物を素早くタオルでふきあげ、ドライヤーで乾かしています。
(手際、良すぎ!)

先生「おい、2頭いるって言ったの誰だ」(笑)

もう1頭いるはずの仔がいないらしい。
どうやら、1頭しかいないようです。

あのエコー検査はなんだったのだろう・・・?
エコー検査では確かに2頭いたはずなんだけど。
心音も2頭分確認したんだけど・・・(謎)

まあ、帝王切開でお腹の中を実際に確認したのだから、1頭に間違いない。
しかし、なんとも不思議なんですが・・・。

パピーの体重を計ると、320グラム。

これって標準?
(たしかブルドッグのパピーは300グラムくらいが標準だと聞いていたような・・・)

でも、1頭のわりには小さいのかな・・・?
出産頭数が少ないと、1頭あたりの体重は重くなるはずらしいんですが・・・。

さて、ここからが本当の正念場。

母親となったてんを麻酔から覚醒させなければいけません。

局部麻酔とはいえ、麻酔のリスクはあります。

実際、てんは手術台の上で、ベロを口から垂れ流し、ぐったり。
ただし、目の焦点は合っているので、意識はあるみたい。

すると、いきなり、先生が、てんのベロを思いっきり引っ張りはじめました。

先生が、
「おい、そろそろ起きろ!」
「おい、起きろ!」
「起きろ!」

(ベロが口から10センチくらい出ています。MAX伸び伸びです)

(てんの反応なし)

すると、先生が手術台をバンバン、バンバン叩きはじめます。

「おいっ!」
「おいっ! おいっ! 起きろっ!!」

(まさか・・・、起きない・・・)

ぴょんっ!

てんが、びっくりしたように手術台から跳ね上がった。
(ほっ・・・)

局部麻酔とはいえ、やはりブルドッグに麻酔をかけるのは怖い。
全身麻酔だったら、不安感はこの100倍だったに違いありません。

ほっとしたのもつかの間、今度はてんを通常の診察台に移動させます。

その診察台に、先生がパピーを持ってきて、パピーの顔を先生が口で吸いはじめます。スッーー! スッーー!

そして今度は、パピーの口をてんの乳首に押し当てて、強引にてんの乳首をパピーの口にねじ込みます。

パピーに母乳の吸い方を教えているのか、もしくは、てんの母性を目覚めさせるためなのか、理由はよくわからないのですが、とにかく重要な儀式のようです。

ブルドッグは帝王切開で出産するせいか、母性がわきにくいらしいので、母犬に「自分が赤ちゃんを産んだこと」を認識させるのはとても重要なのでしょう。

パピーが乳首を口に入れると(半ば強引に)、

先生「よし、これで大丈夫」

これにて、本日の処置は終了(らしい)。

奥さんからブルドッグの子育て指南を受けながら、パピーをカイロを敷き詰めたダンボールに入れ、足元のおぼつかないてんをケージに押し込む。

お薬をもらって、お会計をして、てんとパピーを車に運び込んでいると、いつの間にか、先生は趣味のアロワナを見に、J&Kさんと別室に消えてしまった(J&kさんはアロワナのブリーダーでもあるのです)。

というわけで、病院に来てから、帰るまで約2時間。

犬の出産は初めての経験なので、どういう施術をされるのか、どれくらい時間かかかるのか、わからないのだけれども、人づてに聞いた話だと、帝王切開後1日は入院するらしいのですが・・・。

しかも、てんのお腹は縫合したままで、糸がむき出し。
(ただし、縫合は素人目にも完璧に見える)

患部の保護テープもエリザベスカラーもなし。
先生いわく、抗生剤を飲んで、きちんと消毒していれば大丈夫らしいとのこと。

なにはともあれ、てんは無事に出産。

もっとも懸念していた、パピーの奇形や障害は見られません(といっても生まれてわずか2時間時点だけど)。

で、後日、J&Kさんに聞いた話によると、犬が1頭だけ出産するというのはかなりレアケースらしいとのことです。

たしかに、犬の出産で1頭というのは聞いたことがありません。

テレビでよく見るのは、母犬のおっぱいに何頭もの仔犬が群がっている光景。

てんも7頭兄妹。

しかし、1頭でも健康に生まれてくれれば、それで十分です。
(むしろ1頭でよかったと、後々思い知るはめになるんですけどね)

さて、自宅に戻ってからは、先生もJ&Kさんのサポートもありません。

これからは自分たちだけでお世話をすることになります。

まずは、てんとパピーの対面。

母犬に母性がないと、子犬を無視したり、敵対心を持って噛んだりするらしいのですが、はたして、てんは・・・。

おっかなびっくり、てんのそばにパピーを置きます。

おっかなびっくりのご対面!

吠えないでね
ガブっと噛まないでね

人間が不安になると、犬も不安になるというので、ここはひたすら「平常心、平常心、平常心」と心の中で唱えます。

はたして、てんの大きなベロがパピーの顔をペロン。

母犬が子犬をなめたので、とりあえずは母性は芽生えているようです。

まずは一安心。

さて早速、今日から4時間おきの授乳がはじまります。